郷愁の瑞牆山登山

別のバリエーションの山を計画していたが、その地方の天候が芳しくないので、参加者の多数決で急遽瑞牆山に変更となった。カンマンボロン経由で登頂して不動滝ルートに下山という、クライマーには岩と愉しく触れあえるプチバリエーションハイキングルートである。

カンマンボロンは、私には20年近く前登山教室で通った瑞牆山のルートで、久しぶりに対面した岩場や岩小屋に懐かしさと当時の日々を思い出して一人感慨に浸っていた。当時登ったハイピークルートという大ヤスリ岩も、アブミで登っている2人パーティーがいて、何だかとても嬉しかった。


■日時:2018年5月26日(土)午後発5月27日(日)■天候:土曜日夜降雨あり、日は晴れ

■目的:カンマンボロン経由で岩場を見物しながら瑞牆山に登り、不動滝方面へ一般登山道を下る

■メンバー:L=SH SL=NN MK MW KH(以上姫5名)

KK ゲストHY(殿2名)計7名

■装備:テント泊+ハイキング+ストック

■ルート&コースタイム

みずがき自然公園→6:05カンマンボロン入口→7:02練習した岩場→7:30カンマンボロン→9:10大ヤスリ岩基部→10:00頃登山道合流→10:15山頂(▲2230m)11:00→不動沢コース下山→11:55不動滝→13:00頃みずがき自然公園                   ※時間は、途中岩場で遊んだり偵察したりとしていたので大まかなものです。


瑞牆山は、公共交通機関だと移動に時間がかかるので、車3台を利用した。JR田端駅で5人がKK車で藤野Pに移動、そこでKF車と合流して、2人乗り換えてみずがき自然公園へ向かう。ナビで無事到着して、芝生にテントを張る。途中のスーパーで買い出ししたつまみで盛大な前夜祭?。KK氏は今回も美味しいお酒『余市』を持参してきた。

仕事の都合で、今回ゲストのHY氏は、深夜の到着であった。HY氏とは、私が20代の頃に雪山に付き添っていただいた方で、以後15年程経ってから偶然にも再会して山をご一緒した。MKさんやSHさんなどもご存知の山屋さんである。

5月27日(日)ゲストがガイドとカメラマンンに変身

翌朝は、昨夜の雨で木々もツツジもシャクナゲも雫に覆われていた。広場にあるトイレの建物と十一面岩峰を仰ぎ見ることができる。公園は施設も以前と変わり整備され、管理棟内のトイレも暖房付きできれいであった。バーベキューのできる東屋や寛げるテーブルや椅子も設えてあった。

<朝の広場上のトイレ付近>

<案内図>

不必要なものは車にデポした。必要な装備のみ担いでHY氏の車で2回、カンマンボロンへの登り口まで運んでいただき、感謝である。軽く体操してから出発!

<カンマンボロンへの入口>

とりあえず私がトップで落葉松林の登山道を歩き始め、以前は右手の沢をすぐに渡ったが、今回はしっかりした尾根上の踏み跡をそのまま進んだ。ときに案内のプレートも付けられていて、道は鮮明である。やがて、見覚えのある下の写真の岩場に出たので、当時S氏がハンマーを落としたことなど思い出した。途中でテントを張っていたソロの方が、ここで練習をし始めていた。その人にカンマンボロンへの道を確認できた。

<アブミの練習をした岩場>

一度通過してしまったが、戻ってどうにかカンマンボロンに到着。上部岩場は洞の岩で、イワツバメが飛び交っていた。異様な空間ではあるが、上の方にシュリンゲがぶら下がっていたので、誰か登ったのだろう。カンマンボロンとは、大日如来を意味する梵字らしい、この岩だけにその不思議な文様が在る。

<カンマンボロン>

カンマンボロンから少し進んだ先に、岩小屋がある。焚火の跡があるので、今も誰かが利用しているのだろう。当時講習の折にこの岩小屋で何泊したか定かでないが、熊も出没するので注意が必要である。岩茸も採集して、てんぷらにして食した。

<この岩小屋で泊まった>

この頃になると、ゲストのHY氏がガイドと化して先頭を歩いて導いてくれる。以後最後までカメラマンも務めながら…。彼がつと足を止めて、このクラックを登ったので、クライマー魂を刺激されたメンバーも挑戦!岩と親しみつつの登路であった。

<ボルダリングで遊ぶ、右がゲスト氏>

季節がら石楠花は深緑の森の中で咲き誇り、イワカガミの可愛い花も愛でることができた。

<イワカガミ>

この岩の右手下部に、思い出のハイピークルート・大ヤスリ岩の1ピッチ目がある。また来てしまった!!(*^^)v ここまでロープやギア類を良く持ち上げたなあと…、当時の何ともいえない緊張感を思い出した。

<大ヤスリ岩取り付き辺りで>

私達は、アブミとフリーでこの1ピッチ目を登り、さらにその奥に入り、チムニー状の壁を登りきると平らな台座に着く。そこからハイピークルートの醍醐味であるアブミ掛けかえの連続が始まり、やがて大ヤスリ岩の頂点にたどり着くのだ。むろん、フォローであった。

メンバーも各自岩に触れていたが、私も懐かしくここだったかな?とホールドやスタンスに触ってみた。

<1ピッチ目を探るメンバー>

岩場の基部を回り込み、一般登山道と合流するとこれまでと違ってどっと人出が多くなる。大ヤスリ岩取り付きにザックやアプローチシューズが残置されていたが、登っているこの二人のものであろう。フリー化が進んでいる今、あえてアブミで登る人がいるのが、なんだか嬉しかった。確保者がいるところが、台座である。当時、皆であそこで展望を楽しみながら昼食を摂った事なども懐かしい。

<大ヤスリ岩をアブミで登る>

展望が開けた所で、記念写真。

<集合写真>

一般道に出てからも、岩場や鎖場も出てくる。不動滝ルートの分岐を左に分けて、ひと登りで瑞牆山山頂である。さすがに百名山、天気も良かったので多くの登山者で賑わっていた。山頂から眺めていると、大ヤスリ岩をリードしていた彼が登りついたので、拍手や手を振ったら、彼も応えてくれた。岩が大きいので、人間はちっぽけな蟻か尺取虫のようだ。やはり前に登った瑞牆山南壁のルートも山頂部から眺めてみたが、明確には分からなかった。

<二人目が登り始めた>

山頂直下で咲いていた石楠花に蜜蜂が訪問。蕾は赤く、咲くとピンクに変身。

<石楠花と蜜蜂>

山頂から八ヶ岳方面や金峰山の五丈岩も見える。周囲の景色を愉しみつつ、しばし休憩してから下山開始。

<八ツ岳方面>

不動滝方面に分岐を進む。不動滝遊歩道と呼ばれる登山道は荒れているとのことであるが、名前付きの岩が道中幾つかあったので面白かった。この登山道は始めて歩くので新鮮で、暑い日であった樹林の中で助かった。

<ストックが邪魔な所も>

この岩は名無しであったので、勝手に『バッテン岩』と呼んだ。

<バッテン岩>

不動滝にでたので、その不思議な形状に見とれた。向かって左の水流の下は釜になっており、涼しげである。ベンチもあったので、のんびりと休憩する。

<不動滝>

登山道沿いの岩場にも、結構ピン(支点、ボルトなど)が打ってあった。この岩場も結構上部まで登ると、2~3ピッチかかりそうだ。この先の岩場でクライミングをしていた方々にルートを聞くと、11Cとか…、凄ーい。(@_@;)

<不動沢の岩場>

車が通れる林道に出ると、すぐに駐車場に戻ることができた。管理棟が開いていたので、テント代を支払った。そこで、タラの芽が売っていたので土産に一袋購入(250円)。帰宅後、胡麻和えとてんぷらにした。美味であった!

増富の湯に立ち寄り汗を流してから、早めの夕食を途中で済ませた。和気あいあいあと山の話で盛り上がった。降車場所の利便性を考慮して3台に分乗し、またの山行を約束して解散した。中央高速は案の定渋滞したので、運転のメンバーは本当にお疲れ様でした。<m(__)m>

私には、過去の岩場巡りの郷愁の山旅となったが、あの頃の情熱を思い起こすことができただけでも印象深い山行になった。数年ぶりで同じ年のHY氏ともご一緒できて、幸いであった。

<アイキャッチ画像:不動滝に咲いていたキバナスミレ>