貸し切りの二子山クライミング

二子山は群馬・埼玉県境にある石灰岩の双耳峰で、中央稜はミニ・アルパイン・ルートとして親しまれている。KHさんは、前に同じルートを登ったのだが、濡れていて条件が悪く核心部をA0で登ったので、全てフリーで登るという彼女の宿題をこなすために誘われた。一度は登りたいルートであったので、練習不足は分かっていたが参加した。土日は混み合うので、梅雨入り後の天気予報を見ながら、各々の休みを調節して平日に実施した。ルートは全てKHさんがリードし、確保は交代で行った。

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●2017年6月15日(木)●天候:曇り時々晴れ
●メンバー:L=KH  MW NN
●日程&コースタイム
6:35東所沢駅集合6:45→車で現地へ→10:45股峠北側駐車場…股峠…西岳南面取り付11:15クライミング開始…13:25大テラス…15:15終了点…NNとMWさんは西岳山頂15:50ピストン…終了点へ戻り上級者コースを下降16:05…16:35股峠…16:40東岳の弓状バットレスピストン…股峠…17:00駐車場→コンビニ等休憩→20:30東所沢駅20:33電車で帰京

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●ルート概要と所感
股峠から西岳南面麓の祠エリアを通り、左に進むと取り付きである。駐車場から歩いても20分程で、アプローチは楽である。取り付でハーネスなど付けて身支度を整える。
・1P目=凹状の所から登るが、体は重いし(ザックを背負っている)スタンスはあまりなく、スメアリングで登る。結構ホールドはあるので、力任せに体を引き上げる。このピッチの終了支点で、なんとKHさんが前回掛けたカラビナがそのまま残置されていて、回収できて良かった。古いカラビナゆえ、残置と間違われたらしい。

1ピッチ目を登る

・2P目=カンテに出たりクラックに戻ったりしたが、MWさんがヌンチャクを残してくれたので、岩を探る余裕がなく1か所A0で通過。体が外に引きはがされそうで、移動も思うようにいかず、スタンスが危うい状況が続く。

ローソク岩が見えた

・3P目=長いクラックは見た目より悪く、上半部が核心部である。KHさんも支点工作にてこずっており、1か所ナチュラルプロテクションのカムを用いていた。私はしっかりA0で悪いところは抜けた。フォローなのにスタンスが難しく、体が離れる~とここまで何度思ったことか…。核心部ではヌンチャクの回収も大変であった。登りきると心休まる大テラスがあり、水分とエネルギーを補給する。この大テラスへは、ルートの左手のルンゼからも登れるそうだ。振り返ると、雲がかかっている両神山の稜線が見え、大ナゲシの三角形が顕著であった。

3P目核心のクラックに突入

クラック上部

・4P目=大きな岩を超えて左上に出てゆくが、これまでに比べて易しいし、高度感や岩に体も慣れてきて愉しく感じる。

高度感抜群な4P目を行く

・5P目=ここもまずまず登れて快適であった。四角い石の塔を段々と超えて、高度を稼ぐ。

5P目は快適

・6P目=歩いても大丈夫な所であり、私達が先に進んで終了点までロープを伸し、念のため腰がらみ確保でKHさんを待った。ここで、クライミングは終了である。
ロープをたたみ靴を履き代えて、私とMWさんは西岳山頂をピストンしたが、この岩尾根の道も侮れない。再び終了点へ戻り、上級者ルートを下る。梯子などを取り外したそうで、緊張が続く下降であった。

西岳山頂MWさん

同じく西岳山頂の私

股峠に降り立ち、東岳のフリークライミングのゲレンデの弓状バットレスを見学する。KHさんが、あそこを登ったとか、グレードも説明してくれるが、何とも言えない形状であった。一度実際登っているクライマーを見てみたいものだ。再び股峠まで戻り、駐車場で身支度を解いて帰途に就いた。

東岳麓の弓状バットレス、人物がいるので大きさが解る

朝は渋滞に巻き込まれて、取り付く時間が大幅に遅れたが、天気に恵まれ風も爽やかで、クライミング日和であった。KHさんは宿題もこなせたし、私たち二人も満足した一日となった。核心部のグレードは5.7であるが、外岩の練習を重ねないとリードは難しいだろう。中央稜は私達の貸し切で誰にも会わず、帰りの駐車場で4人見かけただけである。KHさんに岩も運転もお世話になったが、久しぶりのマルチピッチは終われば面白かった。何より深緑に包まれ、静かな二子山に登れて良かった。