八ケ岳・稲子岳南壁に挑戦!

前に八ケ岳の稲子岳に登れる壁があると聞いていたが、今回登れるリーダーに従って実施できた。参加者が二転三転四転したが、天候に恵まれて3人で登ることができた。


●期日:2018年8月26日(日)~27日(月)1泊2日  ●山域:八ヶ岳

●天気:26日快晴、風強い 27日快晴  ●形態:クライミング&まったりテント山行

●メンバー:L=KF MW NN    ●資料:登山体系、ネットなど

●ルート&コースタイム

8月26日(日):8:00東所沢駅集合、車で移動→12:10稲子湯先のみどり池入口駐車場12:30…13:45こまどり沢13:55…14:35しらびそ小屋 テント設営

8月27日(月):テント場6:10…登山道から踏み跡へ6:50…稲子岳バリエーションハイクルート7:30…戻る…8:05南壁登攀左カンテ取付(準備と待ち時間)…10:10クライミング開始…2ピッチ目開始10:40…4ピッチ目開始11:10…12:02終了点12:40…13:08稲子岳ピストン…13:47登山道…14:35しらびそ小屋テント場15:20…16:30みどり池入口駐車場16:35→16:40稲子湯→食事後帰京

●装備:50mロープ2本 ヘルメット ハーネス クライミングシューズ ヌンチャク

カラビナ スリング 皮手袋


26日(日)みどり池登山口に駐車して、必要な装備以外を車にデポして出発。ゲートの脇にある登山ポストに計画書は入れた。

<標識と看板がある駐車場>

歩き始めは、林道と登山道を交互に進み、やがて緩やかな軌道跡を活かした登山道になる。落葉松林とシダが美しい森であった。軌道跡には、枕木が残っているところもあった。

<軌道跡、枕木が残っているところもある>

水場のこまどり沢出合。この登山道では、親子連れが多いのも特徴で、私達もここで一休みする。ヘルメットを被りハーネスにガチャ類をぶら下げた男の人が下ってきたので、「南壁ですか?」と声を掛けたら「今日は4パーティー入ってましたよ」と笑顔で答えてくれた。

<こまどり沢の木橋を渡る家族連れ>

しらびそ小屋に到着、以前なかった新館やソーラーの設備が増築されていた。

<趣ある佇まいのしらびそ小屋>

みどり池に東天狗岳の尖がりが写っている。トンボがたくさん飛んでいた。この小屋は、リスや鳥や訪れるので有名で、小屋の窓からは、鳥が餌場に来ているのが見えた。

<東天狗岳投影>

テント場も小屋の裏の林の中で、一人700円。この日は4張だけで、トイレはバイオトイレであった。リーダーKFさんはシェフも兼ねていて、なんとアヒージョをコッヘル一杯に作った。エビ・鶏肉・タコ・ズッキーニ・カリフラワー・ブロッコリー・パプリカ・茸・玉ねぎなど具沢山。当初3人では食べきれないと思ったが、気がつけば殆どたいらげていた。写真が無くて残念!明日のクライミングの成功を祈って、もちろんアルコールで前祝!

月明かりが物凄くて、夜中にトイレに起きた時もヘッデンが必要ない程…。猛暑の折、風はあったがテント内でもシュラフでは暑いので、はだけて寝ていたがさすがに朝方は涼しかった。

27日(月)4時過ぎに起き、アヒージョの残りを使ってスープスパゲッティを食べて、出発。中山峠方面へ登山道を進み、このロープと標識の所から、踏み跡に入る。

<看板がある>

ここで3人パーティーに出合い、彼らも稲子岳へ行く、というので何となくついて行ったら、同じバリエーションでもハイキングの方で稲子岳を目指していた。装備が?でしたのに…。

余計なアルバイトをしてしまった私達は、登り過ぎたので少し戻り、岩壁に突き当たった所から右手に踏み跡を、取付まで行くのだが、もっと下からの方が多少歩きやすかったかもしれない。アザミにチクチク刺されました。ところどころ、立ち木にテープは巻いてあった。

私達が取付について準備していたら、すぐに単独の男性が来たので、先を譲った。何しろおばさん3人なので、自分たちのペースでしか登れません…。彼は、ビックウォールを狙っているのか、ソロシステムでナチュラルプロテクションを駆使して登攀していた。ので、装備が重そうで、1ピッチ登ると懸垂下降してきてザックを担いで、気合を入れて登り返しを行っていた。凄ーい、3人で感心して眺めていた。下の写真では後ろ姿ではわからないが、前にも腰にもたくさんのギア類をぶら下げてました。

<1ピッチ目を登るソロの方>

ソロの登りを眺めつつ、取り付きで待つメンバー。立ち木のテープと赤いハーケンが取り付きの目印である。

<取付のテープの巻いてある木>

赤いハーケンが、あります。なんか、山岳ミステリー小説っぽいです。

<赤いハーケン>

私達もKFさんリードで、私が確保してクライミング開始である。体も慣れてないので、微妙なバランスで岩に乗りつつ、どうにか1ピッチ目はやり過ごした。下の写真は、2ピッチ目の核心部を登るMWさんである。右横のチムニーの方が易しそうであるが、リーダーは左のフェイスとクラックを登ったので、ヌンチャクを残してもらい、私はA0でここを通過した。ヌンチャクの回収にも往生したし、スタンスが厳しいので、支点のピンを利用してしまった。修業が足りません…。

<2ピッチ目核心へ>

3ピッチ目の記憶が無い私で、写真もなく、いきなり4ピッチ目になります。

<4ピッチ目確保点で>

4ピッチ目をリードするKFさん。目の前の岩を登るが、左から巻くこともできる。この最終ピッチは、50mロープを目一杯伸ばした。確保は交代して、MWさん。

<4ピッチ目>

上の写真の岩を登り、次の岩の終了点へ向かうリーダー。右上に私達に繋がる2本のロープが見えている。見事な青空である。

<4ピッチ目>

4ピッチ目を登るセカンドのMWさん。左側後ろの岩が終了点・

<4ピッチ目を登る>

終了点の二人です。東天狗岳をバックに,やったね!

<稲子岳南壁左カンテ終了!>

ここで装備を解いて食事をとった後、稲子岳山頂を目指す。植物保護のロープに沿って登って行き、動物除けの電流の流れている柵に触れないようにしながら山頂方面へと進む。ここの景色は、アルバイトしたので一度見てるせいか、安心して歩ける。右方向の樹林帯へ入ってしばらくしたところで、手製の稲子岳の標識があった。開けた所の木にも看板があったが、文字は消えていた。本当に?というような所に、この木と標識は在った。

<稲子岳山頂>

ここからもとの方向に引き返し、樹林帯へ入り、朝くぐった注意書きの看板の付いたロープの登山道へ帰る。そこからは、しらびそ小屋に下るだけである。樺の林や苔むした風景は、北八ヶ岳に特有で心が落ち着く。結構歩いたのね、と思うころしらびそ小屋に着いた。

ミドリ池は静かに、迎えてくれた。東山魁夷の作品にこんな感じの白い馬と森の絵があったような…、でも森は青い色だったか…。

<今日は静かなミドリ池>

潰したテントを撤収して、荷物を背負い、あとは往路を駐車場に降りるだけである。荷物の整理をして、とりあえず温泉を目指す。

車で稲子湯に向かい、時間がギリギリであったが、月曜日ゆえ空いていたようで入浴可能で良かった。(650円)私には懐かしい、25年前と変わらないイメージの湯であった。

馬刺しや丼物、キノコの食事とビールで祝杯(運転手はノンアルコール)をあげて、一路東所沢へ。都心は、夕方から雷雨と豪雨で大変であったようで、私達が帰京できた時は雨も上がっていて助かった。

リーダーのKFさんには、毎度ながら車の運転、食事、ロープのトップと何から何までお世話になり感謝である。晴天の下、時に落ちる恐怖と戦いながらも、気持ちよくクライミングを愉しめた。私達は4ピッチで終了したが、ピッチの切り方で6~3ピッチと様々である。『山と溪谷』の2017年5月号にルート図も出ていたが、こちらは7ピッチであった。登る人によって選択の余地があるルート取りが可能かも。

30年以上前、山好きな会社の先輩方としらびそ小屋に泊まって、周回コースで東天狗岳に登ったことがある。その後、旦那が八ケ岳の山小屋でバイトをしていた関係で、しらびそ小屋を訪ねたのは25年ほど前であろうか。その時に、旦那が小屋で働いている旨話したら、御主人は美味しい珈琲をご馳走してくれた。その白髪のご主人は健在で、とても嬉しかった。通年営業なので、雪の世界のしらびそ小屋にも来てみたくなった。

<アイキャッチ画像:南壁取り付きの途中で見かけた可愛いきのこ>